同本出版のきっかけは、相続の知識がないばかりに、手続きに手間取ったり、親族間でもめたりする人が少なくないことに気づいたからだったそうです。
川柳だと、楽しみながら相続について考えることができそうですね(^^)
【記事】
東京)行政書士「相続川柳」出版 八王子
(2016年5月27日 朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/CMTW1605271300002.html
出版した本を持つ井出誠さん(右)と長岡俊行さん=八王子市

◆川柳で 学んで相続 うまくいく 法律・心構え解説
八王子市出身の行政書士2人が、相続の「あるある」などを100句の川柳にまとめた「相続川柳」を出版した。句と一緒に、法律の解説や来たるべき日に向けての心構えなどを説明、多くの人が直面する相続を楽しく学べるつくりになっている。
出版したのは、共に40歳の井出誠さんと長岡俊行さん。井出さんは大学卒業後、広告会社勤務や約2年間の海外放浪などを経て、2008年に行政書士に。長岡さんも大卒後、塾講師のアルバイトなどを経て11年に資格を得た。2人は3年前の夏、行政書士会の会合で意気投合。それぞれ同市内で事務所を開いている。
行政書士は権利関係の書類作成ができ、遺言書を作る支援や遺産分割協議書の作成などを行う。本のきっかけは、相続の知識がないばかりに、手続きに手間取ったり、親族間でもめたりする人が少なくないことに、気づいたことだった。
例えば「自分には財産がないから、遺言なんて書かないよ」という人。実際には財産の多寡に関わらず、遺族がいざ分けるとなると、とまどうケースは珍しくない。また「長男だから財産を総取りできる」と誤解している人や、遺言は夫婦で作ると勘違いしている人などもおり、相続の際に、トラブルになりがちだ。
そこで考えたのが、高齢者になじみのある川柳を相続をテーマにして詠むことだった。交代で週1回、1句ほどを作って14年春からブログで公開した。
ところが、ブログは高齢者になじみが薄く、閲覧はわずか。そこで小冊子にまとめて、普段から催している相続セミナーで配ると、多くの来場者が「わかりやすい」「面白いね」と笑ってくれた。
●「相続川柳」掲載句と説明
相続の 手続待っては くれぬもの
→相続の仕方によっては、手続きに期限がある
相続人 第一順位は 自分の子
→親やきょうだいの相続順位は自分の子の後
財産が ないから揉めない それ危険
→相続でのもめ事は金額の多寡とは無関係に起きる
相続が 遺言無い為 争族に
→遺言があれば、遺産分割でのもめ事を避けやすい
ご家族は 遺言書いてと 言えぬもの
→遺言を残すことは家族への優しさの一つ
井出さんは元々、いずれ本を書きたいという夢もあり、出版希望者と出版社のマッチングをするNPO法人を介して企画を提案。辞典などを手がける東京堂出版が手を挙げて、昨年11月の発行にこぎ着けた。
相続について、井出さんは「大事な問題で本当は関心もあるけど、普段は難しそうだと目を背けがち。川柳を読んで備えてもらい、安心の老後を過ごしてもらえれば」。長岡さんは「八王子は生まれ故郷で、ずっと暮らしたいと思う街。高齢の人が安心できるまちづくりに、川柳を通して貢献できればうれしい」と話す。
四六判で232ページ。1296円(税込み)。問い合わせは東京堂出版(03・3233・3741)。
(川見能人)